坂道では自転車を降りて

「さて、そうなると、手がないな。お前は、どうするのが良いと思う?」
「このまま活動しててもダメなのは分かります。とりあえず、先輩のアドバイスに従って、今回は俺が降ります。俺も少し頭冷やしたいし。」
「そうだな。1週間くらいぼーっとしてみろ。そんで、部を俯瞰的に見直してみろ。戻ろうとか、余計な事を考えるな。代役の件にも口を出すな。」
「はい。」
「俺は代役の件を椎名と相談してみる。」

 多恵は作業をしている椎名達と雑談をしながら俺を待っていてくれた。椎名に経過を説明する。
「今回の本は、役者が多くて大変なんですよ。詰め込み過ぎ。余ってる1年ってのも、本当は余ってるんじゃなくて、イマイチ部に打ち解けなくて、自分でパスって言ったんですよ。」
椎名は言った。
「脚本を弄るのは避けたいなぁ。半分が一年なんだろ?もう固めないと本番でトチるだろ。他所の部から経験者を探して来たりも、クリスマスとかならありなんだけど。文化祭だからなぁ。落研や放送研のやつらなら、慣れてるから割とすぐに仕上がるんだ。でもあっちはあっちで本業があるはずだし。それに、山田が文化祭に出られないのもなぁ。」
「それは、俺達としては納得行かないな。」
椎名に織田が頷いた。
「代役だけしてくれる都合のいいやつを探さないといけない。来なくなった一年を説得できるか?」
「うーん。無理なんじゃないかなぁ。。」

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