坂道では自転車を降りて

「間違いってなんだよ。成績が少しでも下がったら間違いなのか?」
「成績はむしろ上がってるじゃないの。嬉しい限りよ。そうじゃなくて。」
「孕ませたりするなってことだろ。不良少年。笑。」
兄が横から口を出す。
「俺達はそんなことしてない。少しは信用しろよ。」
「本当にィ??俺は信用できないなぁ~。」
「うるさい。黙れ。」
「博士は黙ってなさい。ねぇ理士、お母さんはお前を信用してない訳じゃないんだけど。今日のあんた、すごい顔してたわよ。」
「。。。。。わかった。気をつける。」
「気をつけてね。お互い後悔しないように。信じてるからね。」
信じてるとか、勝手な信用を押し付けるなよ。
「へぇー。だったら大野さんは、まだバージンなの?」
「博士!」
兄さんがからかうのを無視して、俺は自室へ戻った。
「2人は大事な時期なんだから、そういう事言ってからかわないで!あんたは弟のことを・・・」
 後ろで母が兄を嗜める声が聞こえた。そういう事じゃないんだ。だが、母さんが彼女の成績のことまで、知るはずもない。

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