坂道では自転車を降りて

「原はその後なんか面白い事あった?」
「いんや。勉強してるだけだもん。なんもないよ。そういう君たちはどうなの?」
「別に、何もないよね?」
「ないな。」
「この後、どっか行ったりしないの?」
「真っ直ぐ帰って、それぞれ自宅で勉強するだけだよ。」
 彼女は即答した。俺は衝動買いしたクリスマスプレゼントを鞄に入れてきていたのが気になっていたが、まだクリスマスまでには数日ある。今日でなくても大丈夫だ。
「まあ、そうだな。」

「ふうん。そうなんだ。夏休みはずいぶん派手に揉めてたって聞いたけど。」
「あれはまあ、なんとかなったんだ。」
「ごめんね。私。」
「いや、俺がいつも強引なのがいけないんだ。ホントごめん。」
「いやいや君たち、今ここでイチャつかなくていいから。」
 イチャついていると言われて、また多恵は赤くなった。確かに、違うとは言いきれない。俺は話題を変えようと咳払いをして誤摩化した。

「そういうお前は、山本さんとかどうなってんの?文化祭来てたんだろ?」
「来てたけど来ただけだよ。彼女等は2年生だし、そのまま大学へ上がるつもりらしいから。いろいろ忙しくしてるみたいですよ。」

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