坂道では自転車を降りて
「そうかな。」
「君がいなかったら議題にも上がらなかった。あそこで議題に載せてもらえたから、みんなの意見が聞けて、悪い所も分かったし、春の本が書けたんだ。君の意見も、それから絵も、すごく役に立ったよ。お礼をいうのは俺だよ。」
「そんな。」
照れて顔を赤くして目を伏せる。なんか、かわいい。
「でも、本当に良かった。」
言いながら、俺をみてにこりと笑った。

 なんだか俺もすごく照れくさくなってきた。うまく言葉が出てこない。ひとり口をパクパクさせていると、彼女が早速スケッチブックを開いて、俺に差し出した。
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