坂道では自転車を降りて
夏休みの終わりに、2人で神社へ行って、合格祈願の絵馬を書いた。今日はそこにお礼参りに行ってから美術館へ行く予定だった。俺はいつも神様には頼みっぱなしで、お礼参りなどした事がなかったが、彼女は理系のくせに信心深いのか、単に礼儀正しいのか、神社にお礼参りを済ませてしまわないと、居心地が悪いらしい。これから飯を食って、神社と美術館へ行って。。美術館ってどのくらい時間かかるんだろう。。
「どこか他にも行きたい所があるの?」
「。。。。。ある。」
「どこ?」
って、、聞くなよ。
「とりあえず、飯食おうか。」
「そうだね。何食べる?」
食べ物の話になったからか、さっきまでの不安な表情が消えて、いつもの彼女に戻った。うーん。どうすれば自然に切り出せるだろう。その事ばかり考えながら、なんとなくファーストフードに入店し食事をとる。いつもなら2人同時に食べ終わるのに、今日は俺が食べ終わっても、彼女の前には食べ物がずいぶん残っている。変だな。調子が悪いのか?
「体調はどう?」
「普通だよ。どうして?」
「いや、飯食ったら。。」
「何?」
「。。。。なんでもない。」
本当はなんでもなくはない。だが、切り出すのには早いか。。