坂道では自転車を降りて
「だから、その、あれだ。ふたりっきりになりたいというか、その。」
「どういう意味?今も2人だけじゃ、、」
途中で俺の言わんとしていることに気付いたらしい。彼女が黙った。
「今日、君と、、その。」
まだ、午後1時過ぎの真っ昼間だが、夕方には彼女は家に帰ってしまうんだから、行くなら今しかない。ちらっと彼女の様子を伺うと、彼女は固まっていた。
「抱きたいんだ。君を。」
よほど驚いたんだろう。紅くなる筈の顔からは血の気が引いている。たっぷり2分程、彼女は口をぱくぱくさせていたが、やがて、声がでてきた。
「抱くって、あの。。」
「後夜祭で、約束。した。だろ?」
「した。ね。」
「だめ?」
「え、あの。ダメじゃないよ。ダメじゃないけど、忘れてたというか、忘れてた訳でもないんだけど、、今日だとは思ってなくて。」
「今日は、無理かな?」
「えゃ、あの。でも。」
「ダメな日とか?」
「いや、それは違うけど。。」
無理ではないってことは、できるって事だよな。良いんだよな。
「だったら、行こう。今から。」
「えっ。今?」