幸せの行方
祖父の決めたレール
✡✡千佳サイド
私は、まもなく高校を卒業する。
私の両親は、私が小学生のときに離婚をし
私と兄の親権は、父に委ねられた。
父は、転勤の多い人で、
学校を頻繁にかわるのは、不憫と思われ
私は、父方の祖父母に預けられた。
祖父、政治家だった。
そのためか、人の目ばかりを気にし
身内にも厳しく、威圧的な人で
愛情には、ほど遠い人だ。
そんな祖父に、
いっさい逆らわない祖母
私は、祖父の言われた通りに
生きるしかなかった。
逆らえば、父に迷惑をかけるから‥
父は、転勤族だ。
国内から海外まで・・・
短いときは、一週間ほどで
異動となったりするので
小さな私を連れ回るのは
大変な事だった。
兄は、祖父母が嫌いで
大学から、家を離れて、
社会人となった。
兄からは、何度も
「千佳、一緒に住もう。」
と、言われたが、
父の事を、考えると出来なかった。
祖父は、父と兄のどちらかを、
自分の後継者にと考えていた
だが二人は、自分で道を決めて
祖父の後継者にはならなかった。
だから、余計に私を自分のレールに
乗せたがる。
本当は、将来インテリアデザイナーに
なりたかった·······
だが、祖父は、
「そんな仕事を」
と、一言だった。
その上、
「もう、知佳の仕事は決めている。」
と、祖父の知り合いの会社に
入社が決められていた。
父は、私の夢を知っていたから、
びっくりして、訊ねてくれたが
「事務もやってみたかった。」
と、言うしかなかった。
兄は、祖父に文句を言ってくれたが
「もう、決まったことだと」
と、一喝された···らしい。
優しい、兄に申しわけなく
「ごめんね、お兄ちゃん。」
と、心の中で謝った。