【完】恋の授業を始めます。
三章 自分の気持ち
Lesson10 父の優しさ
【今宵side】
迂闊だった。
拉致されて、皆んなに迷惑かけて、お父さんにも怒られて……
本当、情けない。
でも、安曇君は責めたりしなかった。
それ以上に心配してくれた。
何で?怒ってるでしょ?
何で怒んないの?
そう言うと、安曇君の答えは予想外のものだった。
「まぁ怒ってるけど、それ以上に安心感の方が大きいから。俺は高槻が無事なら、それで良いから。」
そう言って笑う顔に、心臓が高鳴る。
あぁ、この人はどこまで私の心を掻き乱すのだろう。
安曇君が帰った後も、私の心臓の音は収まってなかった。
やっぱ、もう1回告ろうかな。
「今宵、来なさい。」
そんなことを考えてたら、後ろから父の声がした。
「……はい。」
私はそのまま、父の書斎に向かった。