【完】恋の授業を始めます。
傘は大きくて、大人二人入れるくらいだった。


「濡れないようになるべく詰めてね。」


「大きいから離れても大丈夫でしょ?」


「そういう問題じゃないの。」


じゃあどういう問題なの。


しばらく歩くと、安曇君が話かけてきた。


「今日の高槻さんの説明、分かりやすかったな。」



「そりゃどうも。」


「まぁスパルタだったけど…。」


それは安曇君が同じ問題を何度も間違えるから。


「高槻さんの下の名前って何だっけ?」


急に話変わったし。


「今宵だけど?」


「今宵かぁ…。なんか昔の言葉だね。」


あながち間違ってない。平安とか奈良時代に使われたみたいだし。


「変な名前だよね。」


「いや、可愛いんじゃね?今宵って。」


たまたま安曇君の顔を見ると、笑顔で笑ってて思わず心臓がドキッとした。


今日見た中で1番可愛い笑顔。


「奥ゆかしさつーの?何かいい名前だよな。」



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