【完】恋の授業を始めます。
「はーい。」
私は父に電話をするべく、リビングへ向かった。
「もしもし、お父さん?」
『今宵か。どうした?家にも帰ってないが・・・』
「今、賢人君のお家に来てて、台風が来てるみたいだから、今日は賢人君のお家に泊まろうと思うんだけど、良い?」
『そうか、それなら仕方ないな。そちらの御家族の方に、ご迷惑のないようにするんだぞ。』
「うん。じゃあ帰る時にまた、連絡するね。」
そう言って、電話を切り、玄関へ戻った。
「お家の人、大丈夫だった?」
「はい。父も承知してくれました。」
「そう、良かったわ。」
「母さん、そういえば聖人(たかと)は?」
たかと?
「あぁ。聖人ならもうすぐ帰ってくるわよ。台風が凄いから、学校の先生が送って来てくれるって。」
「そっか。じゃあちょっと今宵と部屋行ってっから。」
え!?賢人の部屋に!?
「はーい。そうだ今宵ちゃん、泊まっていくんだから、もう一度服に着替えた方がいいわよ。」
あ。そうだった!
私はさっきの服を持って、脱衣所でもう一度服を着た。
「今宵、こっち。」
着替え終わった私に、賢人君は手招きをした。
連れて来られたのは、賢人のお部屋。
「どうぞ。」
「し、失礼します。」
部屋は綺麗で、甘い香りが部屋中に広がっている。
「適当に座って。」
賢人君は扉を閉め、私はテーブルの前に座った。
「ごめんな、うちの母さん。いろいろからかってきて。」
「ううん。良いお母さんだね。なんか見てるこっちも楽しかったよ。」
「昔のこと、思い出した?」
え・・・?
賢人君の方を向くと、真剣な顔で私を見ていた。