【完】恋の授業を始めます。

「食事の時、今宵なんか寂しそうな顔してたから、ずっと気になってた。」


ばか、私。賢人君を不安にさせないって決めたのに。


「落ち込んでなんかないの。ただ、お母さんと
賢人君を見てると、なんか昔を思い出しちゃって。」


「・・・今宵、こっちおいで。」


そう言って賢人君は私に手を伸ばした。


「何?きゃっ!」


近づくと手をグイッと引っ張られ、賢人君に抱き締められた。


「ちょっ、どうしたの?」


抱き締める力が更に強くなる。


「今宵、何か俺に、甘えてみ。」


え?


「何でも良いから、何か我儘言ってみ。」


我儘、今なら言っても良いのかな?


私はゆっくりと言った。


「好きだって言葉が聞きたい。」


「うん。好きだよ、今宵。」



< 244 / 284 >

この作品をシェア

pagetop