【完】恋の授業を始めます。
「食事の時、今宵なんか寂しそうな顔してたから、ずっと気になってた。」
ばか、私。賢人君を不安にさせないって決めたのに。
「落ち込んでなんかないの。ただ、お母さんと
賢人君を見てると、なんか昔を思い出しちゃって。」
「・・・今宵、こっちおいで。」
そう言って賢人君は私に手を伸ばした。
「何?きゃっ!」
近づくと手をグイッと引っ張られ、賢人君に抱き締められた。
「ちょっ、どうしたの?」
抱き締める力が更に強くなる。
「今宵、何か俺に、甘えてみ。」
え?
「何でも良いから、何か我儘言ってみ。」
我儘、今なら言っても良いのかな?
私はゆっくりと言った。
「好きだって言葉が聞きたい。」
「うん。好きだよ、今宵。」