【完】恋の授業を始めます。
嬉しくて、心臓がきゅーってなった。
「俺に大切なことを教えてくれて、ありがとう。遠距離恋愛って辛いかもしんないけど、俺は今宵のこと、一日も忘れるつもりねぇから。」
そんなの、私だって一緒だし。
「うん。私も。」
笑ってそう言うと、賢人君は私の頬に手をあてた。
そしてゆっくりと目を閉じ、キスをした。
好きだよ。
唇が離れると、賢人君は優しく私を抱き締めてくれた。
「賢人、そろそろ時間よ。」
賢人君のお母さんがそう言うと、賢人君は離れて、耳元で囁いた。
その言葉に、どうしようもなく、胸が高鳴った。
「じゃあ、またな。」
そして賢人君は、北海道行きの飛行機に乗った。
私たちはその飛行機が見えなくなるまで、最後まで見送った。
それからしばらく、賢人君に会えることはなかった。