【完】恋の授業を始めます。
「どういうことだ?」
「俺、東京に帰る。会いたい人がいるんだ。」
友達にも会いたいけど、一番に会いたいのは・・・
「それって、今宵ちゃんのこと?」
母さんの質問に、俺はコクリと頷いた。
「何も今じゃなくても、いいだろ。春休みにでも・・・「それじゃだめなんだ!」
春休みじゃ、だめだ。
「これからしばらく大雪が続いて、便もしばらくでなくなる。東京に行くには、明日しかチャンスがないんだ。」
「明日って、そんな急に!?」
母さんが心配そうな顔でそう言った。
ごめん、でも、俺はその人に伝えなきゃいけないことがあるんだ。
「お願い!父さん、母さん!俺の願いを聞いてください!」
俺は頭を下げ、頼んだ。
それから少し沈黙が続いた後、口を開いたのは父さんだった。
「どうしても、行きたいのか?」
俺は頭を上げ、真剣な顔で頷いた。
「お前が我儘を言うことなんて、珍しいからな。今回はその願いを聞いてもいいだろう。」
俺は目を見開き、質問した。
「いいの?」
「あぁ。母さん、すぐに成田行きの便のチケットを手配してくれ。」
「分かったわ。」