【完】恋の授業を始めます。
この温もりを、私は知ってる。
「呼んだ?」
聞き覚えのある声、温かい温もり。
「賢・・・人君?」
後ろを振り向くと、確かにそこには、賢人君の姿があった。
「ただいま、今宵。」
一気に涙が溢れる。
そして私は、賢人君をギュッと抱き締めた。
「賢人君、事故に、遭ったかもって、心配して。」
「あぁ、北海道の便のか。あれは、沖縄行きの便だよ。」
・・・え?
「途中で少し事故があったみたいなんだけど、すぐに異変に気付いたから、怪我人とかはでなかったって。」
なんだ、そうだったんだ。
「今宵?」
「・・・良かった。」
賢人君の体から少し離れ、目をまっすぐ見つめた。
「私てっきり、賢人君に何かあったのかって、心配になって。」
「今宵・・・」
ホッとしたはずなのに、震えがまだ止まらない。
「あれ?・・・おかしいな。」
笑いながら、そう呟いた。
「震え・・・止まらな・・・」
「・・・っ!」
すると急に、賢人君に強く抱き締められた。
「ちょ!賢人君!?」
「ごめん。」
今にも泣きそうな声で、賢人君はそう呟いた。