【完】恋の授業を始めます。
「今宵をこんなに心配させて、ほんとにごめん。」
私は賢人君の背中をポンポンと優しく叩いた。
「いいよ、賢人君が無事なら、私はもう大丈夫だから。」
体が離れ、お互いに見つめ合う。
「俺、今宵に言いたいことがあるんだ。」
それを言われると、私の胸がドキンと音を立てる。
「高二の時から、ずっと思ってた。今宵の苦しみを、俺が救うことは出来るのかなって。」
そんなこと、考えてくれてたんだ。
「それで気づいた。守ることだけじゃなくて、今宵とこの先も、ずっと一緒にいたいって。」
そう言ってる賢人君の目は、すごく真剣だった。
「今宵、この先、いろんなことがあると思う。嬉しいこと、辛いこと。沢山あると思う。でも俺は、辛いことがあっても、今宵と別れたくない。」
そして賢人君は、ポケットから白い箱を取り出した。