烏藍婆那
「大声で考えるって何!」

『強い想いというのかの』

 ふふふ、と笑う。
 何それ。

 不覚にも八郎にときめいたからか?
 つか、こんなこと考えてたら、また読まれてしまう。

 違うことを考えよう、と思った私は、ふと仏壇に目をやった。
 引き出しを開け、古びた小さな過去帳を取り出す。

「うひ。何これ。達筆すぎて読めない」

『お前は字も読めんのか』

「馬鹿にしないで! 今は筆でなんか書かないから、こんな文字は読めないってだけ」

 しかも過去帳の見方がいまいちわからん。
 古い順に書いてあるわけじゃないのか。
 ページが飛んでたりするし。

『死んだ日のところに名が書かれるのだ』

 後ろから覗き込みつつ、八郎が言う。
 ちょ、あんまり近づかれると寒いんですけど。

「ひぃじーちゃんの命日なんて知らないな~」

 ぺらぺらめくっていると、何かが挟まっているページがあった。
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