烏藍婆那
 どうしたもんか、と寝転がったまま考える。

『つか、膳も作るならもうちょっと豪華にせんかい。団子に何やら袋がかかっておるし、こんなままじゃ食えんだろうが』

 ……これは『じゃないほう』の可能性が高いな。
 でも『じゃないほう』のわりに、おどろおどろしい感じはないな。

 やはりどうしたもんか、と考えつつ、私はゆっくりと目だけを動かして周りを見た。
 頭のほう、枕元のほうに、何かいる。

 これは確かめるべきか……。
 気付かないふりを通すべきか。

『ん~、あんこがないではないか。団子にはあんこだろうが』

 ……。

『灯篭は虫に食われておるし。保管が下手くそだからだ』

 ……。

『大体馬を作るなら、ちゃんと作らんかい。モロコシの毛で尻尾を作ることも知らんのか?』

 むくり。
 延々続く文句に、思わず身体が反応してしまった。
 気を悪くしながら上げた視線の先には---。

「侍」

 時代劇そのままの、侍がいた。
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