烏藍婆那
『何代前になるのかのぅ。といっても、そう遠くないはずだが。およそ百五十年ほど経つのかの』

「おばーちゃーん!」

『こらこら。そう取り乱すでない。はしたない』

「どうしたえ、沙希(さき)」

「変な人がいるー!」

『変な人とは何だ。失礼な。わしからすると、お前のほうがよっぽど変だ』

「空気読めよー! 誰がどう見たって、あんたのほうがおかしいでしょうが!」

「沙希、どうしたんだい。何を一人で喚いてる?」

 祖母は部屋に顔を突っ込み、怪訝な顔をしている。
 いやいや、そんな広い部屋じゃないでしょ。
 一目で変な人がいるってわかるでしょ。

『変な人と言うな!』

「言ってないし!」

 つか、こいつ人の考えも読めるのか。

「寝ぼけてるんじゃね。全く、ご近所迷惑にならない程度に騒いでおくれよ」

 祖母は呆れたように言い、とっとと去ってしまう。
 見えてないんだ。
 あ~、これで『じゃないほう』確定じゃないか。

 改めて、目の前の祭壇に目をやる。
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