烏藍婆那
「で? ご先祖様が、何の用よ。何いきなり現れてんの。怖いんだけど」

『お前が迎えを寄越したくせに、何を言っておる』

「迎え? あっお盆の迎え火か。つか、ほんとに帰ってくんな! 怖いじゃん!」

『重ね重ね無礼な小娘だな! 無礼討ちにしたいところだ』

「無礼討ちなんて出来ない程度の身分でしょーが!」

 うぐぐぐ、と自称ご先祖様を黙らせ、私は祭壇を見た。

「迎え火に乗って帰って来たってことは、この火を消せばいいわけか」

 手を振り被る。

『わー、やめろ! つか、迎えに来たくせに、そんな早々に帰そうとするな!』

「普通はほんとに帰ってきたりしないの! 空気読めよ!」

『何てこと言うんだ、この小娘は! 全ては気の持ちよう! この世もあの世も同じなんだからな!』

「あんたこそ何言ってんの! 何気に恐ろしいこと言わないで!」

 ここで祖母から、やかましい! と一喝され、しぶしぶ火を消すことは断念した(消そうとすると、このご先祖が騒ぐため)。

「でもさ、寝るときとかは、消さないと危ないじゃん」

『それは大丈夫。わしがおるしの』

 少し笑って、ご先祖が言う。
 あれ、笑うと良い感じ?

 よくよく見れば、なかなかのイケメンじゃないか?
 切れ長一重のすっきりした目に、鼻筋も通ってる。
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