甘い恋の賞味期限
千世の指摘に、静子は露骨に焦った色を浮かべる。
「どうして? 普通、連絡するでしょ?」
「……ば、バレちゃうじゃないっ」
「………………は?」
静子が怒りを含んだ声で、自分の気持ちを主張する。
「私が出かけてたことが、間宮さんにバレちゃうかもしれない! そうなったら、クビって言われるっ」
「……あなた、自己保身が大事なのね」
千世は諦めのため息をつくと、病室へ戻る。千紘を病院へ連れて来た時、一緒に千紘のスマホも持ってきた。
そこに、父親の番号が登録されているから、自分が連絡しよう。
「……ちせ……?」
「すぐ戻るわ。お父さんに電話するから」
頭を撫でれば、千紘はまた夢の中。
この様子なら安心だが、医者の言う通り、念のため入院させた方がいいかも。
ただ、それを決めるのは千世じゃない。
「あ、あの……」
「千紘のこと、見ていてください。すぐ戻りますから」
病院内で、スマホは使っちゃいけない。
千世は上着を羽織ると、そのまま外へ向かった。
*****
会議中、史朗のスマホが控え目な音を鳴らす。普段は会議中、電源を切っているのだが、今日は千紘のこともあって電源を入れたままにしていた。
だが配慮して、音量は下げていた。
「少し席を外します」
史朗は父親や役員に一礼すると、会議室を出て行く。
「どうして? 普通、連絡するでしょ?」
「……ば、バレちゃうじゃないっ」
「………………は?」
静子が怒りを含んだ声で、自分の気持ちを主張する。
「私が出かけてたことが、間宮さんにバレちゃうかもしれない! そうなったら、クビって言われるっ」
「……あなた、自己保身が大事なのね」
千世は諦めのため息をつくと、病室へ戻る。千紘を病院へ連れて来た時、一緒に千紘のスマホも持ってきた。
そこに、父親の番号が登録されているから、自分が連絡しよう。
「……ちせ……?」
「すぐ戻るわ。お父さんに電話するから」
頭を撫でれば、千紘はまた夢の中。
この様子なら安心だが、医者の言う通り、念のため入院させた方がいいかも。
ただ、それを決めるのは千世じゃない。
「あ、あの……」
「千紘のこと、見ていてください。すぐ戻りますから」
病院内で、スマホは使っちゃいけない。
千世は上着を羽織ると、そのまま外へ向かった。
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会議中、史朗のスマホが控え目な音を鳴らす。普段は会議中、電源を切っているのだが、今日は千紘のこともあって電源を入れたままにしていた。
だが配慮して、音量は下げていた。
「少し席を外します」
史朗は父親や役員に一礼すると、会議室を出て行く。