甘い恋の賞味期限
「なら、私で試しましょうっ。好きになるかもしれない」
粘る静子に、史朗は呆れたようなため息をつく。
ここまで言っても引かないのは、それだけ本気と言うことなのだろう。
だが、史朗にはどうでもいい。涙を流し、必死になる彼女を見ても、心がなんの反応も示さないんだ。
「ーー帰りなさい。他人を愛したことはないけど、これだけは分かる」
「……なん、ですか?」
静子を離し、史朗は彼女にハッキリと告げる。
「自分がこの先、絶対に愛さない人。それは分かる。ーー武内さん、俺にとっての君は、そのフォルダーに分類されてる」
史朗はカードキーを取り出すと、マンションの中へ入る。振り返りはしなかったが、静子が追いかけて来ないことは分かった。
「……疲れた」
エレベーターに乗り込み、壁にもたれかかる。今日は朝から、千世に渡すための服を買いに行ったし、母親からの報告メールが頻繁に来ていたし、挙句に静子のアレだ。疲れを感じないはずがない。
「…………」
こういうことがあるたびに、思うのだ。女性は面倒で、自分には理解できない生き物だと。
それでもやはり、【母親】は必要だと思う。千紘のためにも。
「あら史朗さん。今日はそんなに疲れたの?」
リビングで本を読んでいた母親が、帰って来た息子を見て一言。
「まぁ、疲れましたよ。……千紘は寝ましたか?」
「えぇ。よく分からないけれど、ずっと千世、って言う女性のことを話していたわ。写真も見せてくれたけど、本人は写っていなかったわねぇ」
予想していたことだが、やはり千紘は話していたか。説明するのは面倒だが、薫子は話しなさい、と言うオーラを出しまくっている。
「うちで働いている社員で、千紘がよく懐いている女性なんです。俺も、最近知ったんですよ」
キッチンに行けば、テーブルに煮物が置いてあった。
粘る静子に、史朗は呆れたようなため息をつく。
ここまで言っても引かないのは、それだけ本気と言うことなのだろう。
だが、史朗にはどうでもいい。涙を流し、必死になる彼女を見ても、心がなんの反応も示さないんだ。
「ーー帰りなさい。他人を愛したことはないけど、これだけは分かる」
「……なん、ですか?」
静子を離し、史朗は彼女にハッキリと告げる。
「自分がこの先、絶対に愛さない人。それは分かる。ーー武内さん、俺にとっての君は、そのフォルダーに分類されてる」
史朗はカードキーを取り出すと、マンションの中へ入る。振り返りはしなかったが、静子が追いかけて来ないことは分かった。
「……疲れた」
エレベーターに乗り込み、壁にもたれかかる。今日は朝から、千世に渡すための服を買いに行ったし、母親からの報告メールが頻繁に来ていたし、挙句に静子のアレだ。疲れを感じないはずがない。
「…………」
こういうことがあるたびに、思うのだ。女性は面倒で、自分には理解できない生き物だと。
それでもやはり、【母親】は必要だと思う。千紘のためにも。
「あら史朗さん。今日はそんなに疲れたの?」
リビングで本を読んでいた母親が、帰って来た息子を見て一言。
「まぁ、疲れましたよ。……千紘は寝ましたか?」
「えぇ。よく分からないけれど、ずっと千世、って言う女性のことを話していたわ。写真も見せてくれたけど、本人は写っていなかったわねぇ」
予想していたことだが、やはり千紘は話していたか。説明するのは面倒だが、薫子は話しなさい、と言うオーラを出しまくっている。
「うちで働いている社員で、千紘がよく懐いている女性なんです。俺も、最近知ったんですよ」
キッチンに行けば、テーブルに煮物が置いてあった。