俺から離れるの禁止。
「あ。今ぼーっとしただろ?」
「えっ、あ、そんなことないよ?」
少しにやっとした広瀬くんが私の顔をのぞき込んだ。
広瀬くんのサラサラな黒髪がおでこにあたる。
か、顔、近い…
「何考えてんの?」
「えぇっ!?」
真っ黒な鋭い瞳が
こちらを見つめる。
あまりにもカッコイイから、目を逸らしてしまった。
「ん?」
「な、何も!」
広瀬くんの事考えてたなんて…
絶対言えないよ…
学校到着。
すると、靴箱に来た私達を待っていたのは
「おはよー原野」
松田くんだった。
「今日の宿題で、わからないとこあったから、教えてほしくて。行こうぜ」
ぐいっと、私の手を引っ張る。
…毎回思うけど、松田くんってかなり強引。
ってか私今から部活なんだけど…
松田くんもそれを知ってるはずなのに。
「じゃあ、またな、広瀬!」
…なんで、広瀬くんの名前知ってるんだろ?
「広瀬くん!また後でね!」
「…おう」
彼の顔は、少し不機嫌な様子だった。