秘密の放課後〜彼には裏の顔がある〜
家に着いた俺達は家の中へと入った。
優さんはシャワーを浴びると言って居なくなったリビングに俺達三人は残された。
サツキは一人で料理を作るのかキッチンへ向かった。
俺も光輝も無言のままだったが、光輝は立ち上がり、サツキの居るキッチンに向った。
だけど料理を作っているサツキの邪魔はしたくないし、だからと言って光輝とサツキが二人きりとか面白くない。
だが、優さんがシャワーを浴びているから静まり返ったリビングで一人で居た俺は光輝とサツキの会話が聞こえてきた。
「今日は何を作るんだ?」
「カレーだよ?」
「じゃあ俺も手伝うよ!」
「じゃあジャガイモの皮を向いてくれる?」
「任せとけ」
その会話は何故か楽しそうで、俺はモヤモヤしていた。
それに俺は料理をした事がないから手伝うにも何をしていいのかさえもわからない。
「こうちゃんっておばさんの手伝いとかしてたの?」
「引っ越してからはたまにしてた!」
「だから上手なんだ?でも悪戯ばっかりしてたこうちゃんがおばさんの手伝いしていたとは驚きだよ。」
「引っ越して、環境が変わっちまって、友達は出来たけど、心に穴が空いちまった感じがずっとしてて、引っ越す前はいつも遊んでばかりだったし、サツキの家にもよく行ってたけど、一ヶ月くらいは遊びに行かなくて、そんな俺をみたお袋が何となく俺の様子を見て、引っ越したのが原因だと分かったのか、何かに集中させて、会話をする為に俺に料理の手伝いを頼むようになってな、だけど以外に楽しかったし、お袋のおかげで最初はよくこっちの友達とかの事を思い出すと帰りたくなってたけど、ある日にお袋が言ったんだ、直ぐには無理だけど、何年か後にはまた戻るからそれまではこっちで沢山、友達を作って遊んで、勿論勉強はちゃんとしなきゃいけないけど、必ず帰るし家は売らなくてそのままにしてるから悲しむ事はないからって言ったんだ。
それを聞いたらそれまでの間は友達も沢山作って遊ぼうって決めたんだ。」
思い出話をしている二人。
光輝は昔のサツキを知ってるし、サツキだって光輝の昔を知っている。
それに光輝は本当は寂しかったんだな…。
俺とは違う形だけど、環境が突然かわるのは誰だって慣れない。
俺の場合は両親が家に居なくて、いつも姉ちゃんと二人。
だけど引っ越しもなかったし、友達が変わる事はなかった。
もし俺も海外に連れて行かれてたら光輝と同じ気持ちになったかもしれない。