秘密の放課後〜彼には裏の顔がある〜
それまで話に夢中だったお兄ちゃんの顔色が一瞬にして変わった。
「出てこいや!女出せやコラ!」
不良達はそう叫んだ。
「お、お兄ちゃんっ!ど、どうしよう」
お兄ちゃんは無言で車を邪魔にならない所に止めた。
この時間帯はこの道はあまり車は通らない。
お兄ちゃんは車から出て、こうちゃんも一緒に降りてしまった。
私は少し開いた窓から外の様子をハラハラしながら見ていた。
「誰だよテメェ、ああっ!」
「俺達はあんたら二人に用事はねぇんだよ!
中に乗ってる女出せや!」
「はっ!?理由は?」
こうちゃんはイライラしながら不良達に言った。
「この前にこの女に俺のダヂ二人が怪我させられたんだ!それにこの女と一緒に居た男にもな?」
そう言ったのはこの前に居なかった不良だった。
「そんなの今は関係ねぇよ!てか女に怪我させられるってダセェな?」
こうちゃんは笑いながら不良達に言った。
不良達は顔つきが変わった。
「それよりお前ら人の車を蹴りやがって謝罪もねぇのかよ!」
「誰が謝罪なんかするかよ!それより中に乗ってる女だせや!」
そう言って不良の一人がお兄ちゃんに殴りかかろうとしたが、お兄ちゃんは殴り掛かって来た不良を蹴り飛ばした。
「うっ…」
不良は倒れた。
残っていた不良達は一気にお兄ちゃんとこうちゃんに殴りかかろうとしてきて私は怖くて目を瞑った。
「うっ…ぐはっ…」そんな声が聞こえてきて私はゆっくり瞼を開けると目に写ったのは不良達がお兄ちゃんとこうちゃんにボコボコにやられている姿だった。
確かにお兄ちゃんはよく顔に痣があったりもしていたし喧嘩もよくしていたのは知ってるけど、喧嘩している姿をみたのは初めてだ。
こうちゃんも喧嘩が強いみたいで相手は涙を流していた…。
不良達は次々と倒れていき、そんな不良達を残して何もなかったように車に乗ったお兄ちゃんとこうちゃん。
お兄ちゃんは車をまた走らせた。
「サツキ…ファミレス着いたらゆっくり話を聞くからな?」
「う、うん…」