秘密の放課後〜彼には裏の顔がある〜
「誠、何でそんなに上手いんだ?」
「家にあるからたまにしてるんです。」
確かに誠は上手かった。
私がしても当たらないんだろうな。
「誠は家にあるから上手くて当たり前だし、俺等が何回しても勝てない。優くん、俺と二人で勝負しようぜ!」
「おお!望む所だ!さっきはいい勝負だったし、昨日のゲームでは負けたが、今日は勝ってやる!」
そう言って二人は勝負をしだした。
誠は私の所に来て、さっき買っていた缶コーヒーを飲んだ。
「誠ってダーツ上手いね!私がしたら違うとこに飛んでいきそうだよ。」
「練習すれば上手くなる!一緒にしてみるか?」
「えっ?で、出来るかな?」
「何回か俺が教えてやるから感覚を掴んだら一人で投げてみたらいい。」
「う、うん…」
お兄ちゃん達が勝負に夢中の中、私は誠に教えて貰う事にした。
先ずはダーツの持ち方を教えて貰い、スローラインに立った。
すると誠は私の後に立って、後から私の右手を上から握った。
うわぁ!!
誠と密着しちゃってるし、後から抱き締められてるみたい…。
私はダーツに集中したいのに、胸がドキドキして、後で誠が私の右手を握ったまま、投げる時はこんな風にするんだと手を動かしながら教えてくれるんだけど、耳元で話しかけられたので何だかくすぐったくて、ダーツより誠に意識をしてしまってあまり話を聞いていなかった。
「おい!聞いてるか?」
「えっ、あ、うんっ!」
「本当かよ!?まぁいい、俺が腕を振るからサツキはダーツを離すんだぞ?」
「わ、わかった!」
私はドキドキしながらもダーツボードを見つめ集中した。
そして誠が私の右手を振って、タイミングを合わせて私もダーツを離した。
するとダーツボードの真ん中らへんにダーツが刺さった。
「やったぁ!」
そう言った私は嬉しくて、勢いで誠に抱きついた。
すると私の体をそのままギューっと誠が抱き締めて、舞い上がって誠に抱きついてしまったが、まさか誠が抱き締めてくるとは思わずに、どうしていいのか分からなかった。