秘密の放課後〜彼には裏の顔がある〜
「まぁだけどこうしてこっちに戻ってきたし、向こうでも友達も沢山できたし楽しかったけどな!」
こうちゃんは笑って私に言った。
私達が話していると、誠がキッチンにやって来た。
「俺も手伝う!」
「誠が居なくても俺が居るからお前は用無しだ!」
「またすぐそうやって言うから喧嘩になるでしょ!じゃあ誠には玉ねぎの皮を手で剥いてもらっていいかな?」
「ああ…」
私は誠に玉ねぎを手渡した。
だが誠は玉ねぎをじっと見つめて持ったままで、それに気づいた私は誠に話しかけた。
「誠?どうしたの?」
「皮ってどうやって剥くんだ?」
誠の言った発言に一瞬、驚いてしまった。
「お前…今のってボケじゃなく本気で言ってんのか?玉ねぎの皮も剥けないなんてマジか?
貸せよ、俺がサツキと一緒にするから誠は向こうに座ってたら?」
「うるせぇよ!」
そ、そうだった。
誠の家はお手伝いさんが居て、料理も作ってもらってるし、両親は海外にいてあまり日本には帰ってこないくらい忙しいと言ってたし、キッチンで料理とかした事がないよね…。
お母さんの手料理とかじゃなく、いつも料理を作ってくれる人がいるから作ったことも、野菜の皮を剥いたりとか切ったりとかした事がないよね。
「じゃあ私が教えるから一緒にしよう!」
そう言って私も玉ねぎを手に持って剥き方を教えた。
すると誠は同じように真似をして、玉ねぎの皮を手で剥いた。
私は二人に手伝ってもらい、後は炒めて水を加えて煮込むだけとなった。
ちょうどお兄ちゃんが風呂から上がり、リビングに二人は行った。
私もカレー作りに専念した。