兄妹ものがたり
「じゃあな晴人、また来るわ」
「うん、またね将人君。
あっ、大和君コーヒー冷めちゃったから淹れ直してくるよ」
「いいって全然、おれ気にしないし」
「そういうわけには…」
「じゃあさ、ちょっとだけレンジでチンしてきてよ!」
「そ、それは…」
「おれがいいって言ってんだからいいの!ほらっ」
相変わらず適当で強引な大和に、しどろもどろになる晴人だが、休憩時間がまもなく終了する為助けに戻ることもできずそのまま後ろ手に扉を閉める。
外に出て大きく体を伸ばすと、ふと…思い出したように眉間に触れてグニグニと揉んでみた。
「…ったく、誰のせいでシワが増えたと思ってんだあのバカ」
昔から、アホな大和を諌めるのはいつも自分の役割だった。
きっとこれからも、それは変わらないのだろう。
「まあ、一人くらい変わらないバカがいないとつまらないか…」