兄妹ものがたり


「ななー!お願いだから聞いてよ」

「…聞いてるってば」


声音は何処か呆れているが、それでも突き放したりしないななにこれでもかと擦り寄る。


「そういうところ、大和さんにそっくり」


ため息を吐くように吐き出された言葉に、堪らず勢いよく体を起こす。


「大和さんも、よくお友達にそうやって擦り寄ってる」


何とも心外な発言に、ななから体を離して頬を膨らませる。


「そんな顔したって似てるものは似てる」


ノートの上を軽快に走るペン先を見つめて、唇を尖らせると再びベッドに這い上がって力なく体を横たえた。


「言っちゃえばいい、そしたらなんの問題もない」


教科書から顔も上げずに言い放つななにため息だけ返して、背を向ける。


「…わかってるよ、わかってるけど……」


幼馴染みなんだから、それくらいは言わずとも察して欲しいものだ。


「早希ちゃんは、心配しすぎかも」
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