兄妹ものがたり
「私と早希ちゃんと…あと立河くんは、家が近所だったから赤ちゃんの時からの幼馴染みでしょ」
ななの言葉に耳を傾けながら、再びギュッとクッションを抱きしめる。
「数え切れないほど喧嘩したし、なんてことないことで気まずくなった時もあった」
クッションを胸に抱いたまま、コロンと横を向くと再びななと視線が絡み合った。
「でもその度に仲直りして、今だってあの頃と変わらず仲良し」
確かに…ななとは嫌というほど言い争いをしたし、ふゆ樹を巻き込んだ大喧嘩も一度や二度ではなかった。
「私たちは家族みたいに育ったけど家族じゃないし、兄弟でもない」
ななの言わんとしていることが掴めそうで掴めない、そのもどかしさに自然と腕に力が入る。
「気まずくなったって、気がつけば元に戻ってるから幼馴染みだし、喧嘩したって結局は仲直りしちゃうから、親友なんじゃないの?」
クッションを顔に押し付けてバタバタと手足を動かし身悶える。
年下に諭されることがなんとも言えず悔しい。