兄妹ものがたり
「早希ちゃんは、案外臆病」
何処か得意げに聞こえたその言葉に、ムッとして顔を上げると胸に抱いたクッションをななの顔めがけて勢いよく投げつける。
「ななってば、年下のくせに生意気ー!」
そう言って舌を出したところで、クッションが顔面に投げ返されてきた。
「そんなに違わないのに、早希ちゃんってば横暴」
それから始まったクッションの投げつけ合いに、部屋は悲惨な状況に様変わりしていくが、ななの部屋であるのをいいことにこれでもかと暴れまわる。
認めたくはないが、もしかしたらななの言う通り心配し過ぎなのかもしれない。
家族ではない、兄弟でもない、友達と言っても所詮は他人、それでもきっと…その絆は確かなはずなのだから。
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