兄妹ものがたり
「いいのか?本当に」
人気のない夜の公園は、人に見られる心配が少ないため二人で会うには最適な場所だ。
普段は子供達で賑わうブランコも、誰もいない今は二人で並んで腰掛けることができる。
「だって、あいつに気つかってコソコソするのとか何かもう嫌だし…それに、いつかはバレることだから……」
「俺が結婚の挨拶に行ったときとかな」
「なっ!!?なに言って!!」
「冗談だよ」
サラッと言い放ってニカッと笑う彼は、うろたえるこちらのことなど露知らず大きな手の平でくしゃくしゃと頭を撫でる。
「か、髪乱れるし!もう子供じゃないんだからやめてよ」
「悪いな、何となく癖で」
昔から、彼の撫で方は少々乱暴だ。
「せっかく妹ができても、そんな撫で方じゃすぐ嫌われちゃうから」
むすっとしたまま髪を手櫛で整える。
周りが暗いからって気は抜かない、彼と会えるときは少しでも可愛い自分でいたくて気合を入れてオシャレしてきたのにこれでは台無しだ。