兄妹ものがたり
楽しげに笑う彼に合わせて、声を上げて笑う。
こんな風に、二人で楽しくデートの計画を立てるのが夢だった。
「だってずっと我慢してたんだもん」
繋いだ手に僅かに力を込めて、その温もりを確かめる。
「びっくりするかな…あいつ」
確かにそこにある温かさは、弱気になりそうな心を支えてくれているようで自然と気持ちが奮い立つ。
「どうかな、ひょっとしたら案外気づいてたりして」
「それは絶対ない!」
ひょうひょうとしたその言い方に、堪らず声を張り上げる。
「あたしの今までの苦労が、あのバカに通じてなかったなんて絶対ありえない!」
勢いよく隣を振り返って大きく腕を伸ばすとそのままの勢いで彼に飛びつく。
「お、おい早希!?」
驚きながらも、しっかりとした腕で受け止めてくれた彼の胸に顔を押し付けると背中に回した腕に力を込めて抱きつく。