兄妹ものがたり
「今日は随分と積極的だな、後で思い返して恥ずかしくなったからって、逆ギレしたりするなよ」
「そんなことしない…!」
今まで溜め込んで我慢してきたものが、堰を切ったように溢れ出して止まらない。
ありったけの感情をぶつけても、大きな腕で全てを包み込んでくれる優しさに今はただ甘えていたかった。
「こんなのあいつに見られたら、俺…生きていられないかもな」
ポツリと呟いた言葉に小さく笑い返して、またギュッと胸に顔を埋める。
心地よい彼の香りに包まれている安心感に、幸せがこみ上げて笑みが溢れる。
「なあ早希」
顔を上げれば、難しそうな顔で眉間にシワを寄せる彼が目に入った。
「もし俺が早希と結婚したらさ」
小首を傾げて続きを待つと、不意に下を向いた彼とバッチリ目があった。
「あいつのこと、お義兄さんって呼ばなきゃいけないわけだろ?…それって何か恐ろしいな」