兄妹ものがたり
指先で優しく伸ばしてやると、ぷくっと空気が漏れるような音と共に押さえ込んだような笑い声が聞こえた。
「なんで笑うのよ!」
途端に恥ずかしさがこみ上げてきて、サッと手を離すと必死で笑いを噛み殺している彼を睨みつける。
「悪い悪い、やっぱ兄妹だなって思って」
その発言にもなんだか納得がいかなくて、ブランコから立ち上がると彼と距離を置くように歩き出す。
「待てよ早希」
「やだ」
若干の笑いを含んで追いすがってくる声を無視して、ずんずん足を進める。
「待てってば」
堪えようにも堪えきれないのか、小さく漏れる笑い声が聞こえて振り返る気力も無くなる。
「別にバカにしたわけじゃなくてだな」
「笑いながら言われても説得力ない!」