兄妹ものがたり


「いや…成人したての時は確かに最初の一杯で速攻酔ってましたけど、あれからだいぶ年も重ねましたし、そろそろいけるかなって」

「お前や永田と一緒にするな」


さほど声を荒らげなくても、異様な威圧感を感じさせる先輩のその一声で、うなだれるように視線を下げる。
付き合いで酒を飲む回数が増え、いつの間にか人並みに飲めるようになっていた自分と同じように、晴人も少しは酒が進むようになっていることを期待した結果がこれだった。


「全く…なんでこんな時に永田はいないんだ?お前が小向と二人でいること自体がそもそもの間違いなんだ」

「先輩に断固抗議いたします!」

「却下だ、永田はどこ行った」


天井に向かってピンっと伸ばした手をサラッと無視されて、悲しみに唇を噛み締めていると、通路を駆けてくる元気のいい足音がテーブルの脇でピタリと止まった。


「ご注文を伺いに参りましたお客様!」





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