主人公
まりな…そう呼ばれた彼女が教室をキョロキョロと見回す。
そして、その瞳が秋也くんを捕らえた。
「しゅ…秋也……?
……っやっぱり、秋也だ!」
そういって、挨拶も放り投げて秋也くんに駆け寄った。
「秋也、秋也!!
元気してた?
あのね、お父さんの仕事が一段落したから戻ってこれたの!
また遊ぼうね!!」
笑顔で秋也くんに駆け寄る。
対する秋也くんは。
「分かった、分かった。
分かったから、挨拶しておいで?
ほら、先生困ってるじゃん。」
先生のほうを見ると、確かに困った顔。
「あ、そっか!
みんなにご挨拶、だよね!
うわぁ…秋也に会えてうかれちゃった…
私の馬鹿ぁ…」
そう言ってとぼとぼと前に歩いていく。
そんな彼女を、秋也くんは愛おしそうに見ていた。