嘘とワンダーランド
泣いても、オロオロしていても、時間は過ぎてしまうものである。

わたしたち家族は謝罪をするために、約束の時間に顔あわせの場所へと向かった。

「申し訳ございません！」

すでに現場にきていた社長夫妻と課長に、わたしたち家族は事情を説明した後で土下座をした。

「娘が…早苗がこのような無礼なことを…！」

お父さんは泣きながら彼らに謝っていた。

お父さんの謝罪の言葉を聞きながら、わたしは『ふくだや』の最期を感じていた。

課長と結婚するはずだったお姉ちゃんは駆け落ちをしてしまったせいで、会社からの融資援助の話はなくなってしまった。

結果、わたしたち家族とわずかな従業員たちが路頭に迷うことになってしまう。

従業員たちの中には家族を持っている人だっているのに…と、目頭が熱くなったその時だった。
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