嘘とワンダーランド
「復旧までしばらく待つしかないな」

わたしのところに到着すると、京やんはスマートフォンを胸ポケットに入れた。

「若菜もケータイをしまった方がいいぞ。

いざと言う時に使えなくなる」

「ああ、そうだね」

京やんに言われて、わたしもスマートフォンをポケットに入れた。

「しっかし、停電なんてついてねーな」

京やんはやれやれと言うように息を吐いた。

「終わった後に停電したからよかったんじゃない?」

わたしは言い返した。

プレゼンが終わった後に停電したから、面倒なことにならなくて済んだのだ。

「まあ、それもそうか。

プレゼンの最中に停電でもされたら大変だったか」

京やんは納得したと言うように呟いた。
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