嘘とワンダーランド
頼りにしている京やんに言えないのは、やっぱり苦しいものがある。

何より、入社以来から仲良くしている友達に隠し事をしていると言うのはよくない。

せっかくの機会だ。

課長と結婚していることを京やんにだけでも告白しよう。

半年間黙っていたことを謝って、ちゃんと彼に打ち明けよう。

そう思って口を開こうとした時、トンとわたしの横に手が添えられた。

「えっ？」

この手は何？

今この場にいるのは、わたしと京やんの２人だけである。

大きな窓から差し込んでいる夜景の光が、会議室をほの明るく照らしていた。

これは一体、何のまねなのだろうか？

「京やん、どうしたの？」

そう聞いたわたしに、
「若菜は、俺のことをどう思ってる？」

京やんが聞き返してきた。
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