嘘とワンダーランド
「京極からの告白を断るのかと思いきや、キスを受け入れようとしてただろ?

俺がここへ割り込まなかったらどうするつもりだったんだ?

あのままキスするつもりだったのか?

えっ?」

課長のその追及は、上司として部下の行いを注意しようとしているからなのだろうか?

「――そ…そんなの、課長には関係ないじゃないですか…」

課長と追及から逃げようとしたら、
「話は終わってない」

肩をつかまれて、躰を壁に押しつけられた。

「――痛い…」

つかんでいるその力が強くて、肩に痛みが走った。

「俺はお前の夫だ。

夫が妻の浮気を止めるのは当たり前だ」

わたしを見つめる眼鏡越しの瞳は、強かった。

どうしてそんな目でわたしを見つめているのだろう?

「――勝手じゃないですか…」
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