嘘とワンダーランド
「わたしはお姉ちゃんの身代わりなんだから、何をしようがわたしの勝手じゃないですか」

「はっ?

何で早苗さんが出てくるんだよ?」

反論したわたしに、課長は戸惑っている。

「結婚するはずだったお姉ちゃんが駆け落ちをしたから、課長はわたしを身代わりにしてお姉ちゃんと結婚したんでしょ?」

「ちょっと待て、お前は何が言いたいんだ?」

そう言った課長に、
「あなたこそ、一体何が言いたいんですか?」

わたしは言い返した。

課長の気持ちがわからない。

課長が何をしたいのかわからない。

わたしは、あなたの行動を含める何もかもが全くわからないよ…。

「お互いのプライベートは干渉しない、社内では結婚していることは秘密にする――そう約束させたくせに、あなたは正反対な行動をしているじゃないですか!」

それまで肩をつかんでいた課長の手が、力を失くしたと言うようにわたしから離れた。
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