嘘とワンダーランド
「若菜か?」

その声に、持っていたカバンを落としそうになった。

違う、何かの間違いだ。

だってこの時間は会社にいるはずなのに…。

ドアを開けて姿を確認すると、
「――課長…」

そこにいたのは、課長だった。

何で?

どうしてここにいるの?

仕事はどうしたって言うの?

「あの、会社は…?」

呟くように聞いたわたしの声が聞こえたと言うように、
「昨日から休んでる」

課長が答えた。

休んでるって、どうして?

何があって、課長をそうさせたのだろうか?

「どうして、ですか…?」

続けて質問をしたわたしに、
「若菜が休んだから」

課長が答えた。

わたしが休んだから?

それが課長が会社を休んだ理由と、どう関係しているのだろう?
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