嘘とワンダーランド
はいっ?

思わず耳に手を当てて聞き返したくなったわたしだが、課長の寝息に対して何も言い返すことができなかった。

失踪したお姉ちゃんの代わりにわたしで我慢するんだから黙ってろ…と言う意味に聞こえたのは、わたしの心が狭いからなのでしょうか?

もう少しだけ言うと、わたしと結婚したことが会社にバレると恥ずかしいから…と言う風にも解釈できます。

「――何よそれ…」

夜景がキレイなホテルの一室で、わたしの呟いた声が響いた。

ああ、そうですか。

そう言うことですね。

あなたがわたしの行動に一切口を出さないって言うなら、わたしもあなたの行動に一切口を出しません。

浮気をしようが何をしようが、わたしはお姉ちゃんの代わりに課長と結婚したんだからそんなことは関係ありませんよね。

では、これからの結婚生活はわたしの好き勝手に行動させてもらいます。

結婚当初の夜、寝ている課長に向かって心の中で宣言した。

 * * *
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