嘘とワンダーランド
「もちろん、京極さんの告白をお断りします。

友達とは言え、不倫をする訳にはいかないので」

宣言するように言ったわたしに、
「うん、それでこそ俺の妻だ」

課長がわたしの頭をなでた。

「ただし、1つだけ条件があります」

わたしは課長の前に人差し指を出した。

「何だ?

ブランドものの新作バックを買えってか?」

「何でそうなるんですか…」

女はブランドが好きなんて、一体誰が言い出したのかしら?

わたしはブランドそのものにも興味がないので、全く理解ができなかった。

「すまん、ジョーダンだ」

クスクスと笑っている課長につられるように、わたしも一緒になって笑った。

笑った後で、わたしは言った。

「千沙さんと向きあってください」
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