嘘とワンダーランド
８◆上司の決着とありのままの思い
課長に気持ちを打ち明けてから１週間が経った夜のことだった。

わたしはフレンチが売りの立ち食いレストランにいた。

奥まったところにあるテーブルでは、課長が落ちつかなさそうに腕時計を見ていた。

緊張しているんだろうな。

その様子を不安に思いながらグラスに入っているワインに口をつけようとした時、
「課長のヤツ、落ち着かないって言う顔をしてるな」

隣でホウレン草とチーズのキッシュを食べていた京やんが話かけてきた。

この場に京やんも同行していたことを思い出した。

忘れていたと言う訳じゃないけど。

「そりゃ、元カノに会うからじゃない」

そう言い返したわたしに、
「まあ…そりゃ、そうか」

京やんは呟くように返事をした。
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