嘘とワンダーランド
「キレイ…」

薬指に通されたリングを見つめて、呟いた。

リングはとてもキレイで、いつまでも見ていたい…。

その手は課長に、両手で包み込むように握られた。

眼鏡越しの瞳がわたしを見つめる。

「――もう1度、俺と結婚してください」

そのセリフに、わたしの心臓がドキッ…と鳴った。

「俺と、もう1度夫婦になってください」

「正文さん…」

初めてされたプロポーズは、もう忘れてしまった。

人生で2回も、それも同じ人からプロポーズをされるとは思っても見なかった。

わたし、夢を見てるのかな?

違う、これは現実だ。

眼鏡越しの瞳も、左手の薬指に通されたリングも、全て現実だ。

「はい、喜んで」

わたしは首を縦に振ってうなずいた。
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