嘘とワンダーランド
課長からプロポーズを受けた後、ホテルに部屋をとった。

「明日、会社ありますよね?」

部屋に入ると、わたしは課長に話しかけた。

大きな窓からは夜景が一望できた。

この夜景を独り占めをしているみたいだと、思わず感心してしまった。

「平日だからな」

課長は答えると、ジャケットをハンガーにかけた。

「着替えを持ってきていないんですけど…」

さすがに明日も同じ服で会社へ行くのはマズいだろう。

何より、2人――しかも、男と女――が昨日と同じ服で会社へ行くのは怪しまれるのではないだろうか?

「近いうちに社内にも打ち明けるんだ。

今のうちから、俺たちの関係をアピールした方がいい」

課長はネクタイをゆるめた。
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