嘘とワンダーランド
「そう固くなるな。

せっかくの花嫁衣装が台無しだぞ?」

ポンと、頭のうえに課長の手が置かれたと思ったらそう言われた。

「俺がそばにいるんだから、な?」

課長はそう言って、わたしの前に手を差し出してきた。

「はい」

わたしは首を縦に振ってうなずいて、課長の手に自分の手を重ねた。

真っ白な教会がわたしたちの今日の晴れ舞台だ。

ゴーンゴーンと、鐘の音が聞こえた。

「おめでとう!」

あちこちからあがる祝福の声を、わたしと課長は笑って受け止めた。

「若菜」

わたしの耳元で、課長が名前を呼んだ。

「愛してるよ」

そうささやいた課長に、
「わたしも」

わたしは笑って返した。

☆★END☆★
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