嘘とワンダーランド
「後、もう1つ」

京やんはサンドイッチをかじりながら、人差し指をわたしの前に出した。

「何ですか?」

そう聞いたわたしに、
「あいつ、1ヶ月前に会社辞めてた」
と、京やんが答えた。

「ええっ、ウソ!?」

驚きのあまり大きな声で聞き返したわたしに、
「バカ、時間と場所を考えろ」

京やんが言った。

この場にいる人たちの視線がわたしたちが座っているテーブルに集中していた。

しまった、忘れてた…。

「あっ、ごめん…」

呟くように謝った後、わたしはサンドイッチをかじった。

「それで、辞めたってどう言うことなの?」

そう聞いたわたしに、
「正確に言うなら上司の女に手を出して、それがバレて逃げたって言うところだな」
と、京やんが答えた。
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