嘘とワンダーランド

「えっ、あの…」

突然手を繋がれたわたしは戸惑った。

そう言えば課長と２人で出かけることと課長と手を繋ぐことは今日が初めてだったと言うことを思い出した。

「どうした？」

課長が眼鏡越しにわたしを見つめてきたので、
「いえ…」

わたしは首を横に振って答えた。

課長はわたしの手を引くと、歩き出した。

わたしも彼にあわせるように、一緒に歩いた。

何だか変な感じだ。

結婚してようやく半年が経ったと言うのに、出かけることと手を繋ぐことが今日が初めてだなんて。

一体課長は何を考えているんだろう？

どうしてこんなことをしているのかしら？

課長に手を引かれるようについた場所は、焼肉店だった。